
相続が発生した場合、被相続人(亡くなられた方)の遺産については、法律で定める割合(法定相続分)で各相続人に権利が帰属します。これは遺産の全部について、相続人全員が共同所有をしている状態であり、土地・建物・株式・預貯金といった個々の財産について各相続人の単独所有とするためには、相続人全員による協議(遺産分割協議)が必要となります。
しかし、遺産分割協議は相続人全員が承諾しないとその協議は成立しないため、協議がこじれて相続人間で遺産争いが起こることが往々にしてあります。この場合、被相続人が遺言を作成しており、個々の財産の帰属について明確にしておけば、相続人間の争いを未然に防ぐことができます。また、相続人以外の人に財産を与える場合も遺言が必要となります。
遺言は、法律により厳格な方式が要求されます。これは、遺言者の真意の確保、紛争の予防のためです。遺言の効力生じたあとでは、遺言者に遺言の内容を確認しようがないからです。したがって、方式に違反した場合は、原則として無効となります。 一般的には遺言の種類として、【1】自筆証書遺言、【2】公正証書遺言、【3】秘密証書遺言、があります。実際、ほとんどの方が【1】か【2】の方式を利用します。

遺言をする人(以下「遺言者」といいます)が、遺言書の全文、日付および氏名を自書し、押印した遺言書です。すべて自書することが要件ですので、他人による代筆やワープロによる印字では遺言書としての効力を有しません。録音テープ、録画テープも当然ダメです。自筆証書遺言のメリットは自分ひとりでも作成できるので、費用がかかりませんが、デメリットとしては相続開始時に遺言書にもとづく手続を行う前提として、家庭裁判所での検認手続を経なければなりません。また、遺言書の記載の方法によっては、遺言が無効となる可能性があります。さらに、遺言書を紛失する、あるいは遺書が偽造される可能性があります。

自筆証書遺言にはさまざまな欠点があります。そこで、遺言を確実にするには、公正証書遺言が優れており、次のようなメリットがあります。
デメリットは公証人に対する公正証書作成の費用がかかり、また、証人二人を用意しなければならない点です。それでも若干の費用を払ってもできるだけ公正証書で作成すべきです。なお、当事務所に遺言作成をご依頼いただければ、当職が証人となりますので、証人を捜す必要はございません。